1 優遇された山口県出身の工女さん
富岡製糸場には日本各地から工女さんが働きに来ていました。横田英は信州の松代出身でした。横田を含め松代から来た工女さんは16人でした。松代から来た工女さんは士族の娘だけでなく平民の娘もおりました。山口県からやってきた工女さんたちは上品な雰囲気で着ている着物も高価だったそうです。しかも、横浜から富岡まで人力車できたというからリッチですよね。ですから、山口の工女さんたちは、ほかの工女さん達は羨望のまなざしを向けていました。ところが、
山口の工女さんだけ、下積み作業の繭とりをしないで、いきなり糸取りをさせてもらったのです。これは不公平だと、ほかの県の工女さんたちは怒ったのですね。憧れの存在からねたまれる存在にあっという間に変わってしまいましたね。いや〜怖いですね。嫉妬のこわさは僕もよ〜くしっとるw
レストランに例えれば、新人でありながら、掃除などの下積みの仕事をしないで、いきなり料理の仕事に任せてもらえるようなものです。このようなことが起こったのは新政府の有力者に山口の人が多かったから。たとえば、伊藤博文とか山形有朋とか。
横田英も不公平だと「山口県の工女さんばかりずるい」と上司に文句を言ったそうです。すると、上司は「このことは西洋人の先生が間違えたのだから仕方がない」と言ってごまかしたそうです。
2 イベントでも優遇された山口工女
夏になると工女さんたちは夕涼みをしましたが、そのついでに盆踊りも行われました。上司のすすめで、長野県出身の工女さんたちが盆踊りを皆の前で披露したのです。するとほかの県の工女さん達も踊りだしたのです。それに負けじと立ち上がったのが山口県の工女さん達。
で、山口県の工女さんたちが踊りだすと、富岡製糸場の男子伝習生-(※1)らが高張提灯すべてを山口県の工女さん達のところへ持って行って、長野県出身の工女さんたちが踊っている場所が真っ暗になったなんて展開になりました。それには長野県出身の工女さん達もキレてしまいました。
3 盆踊りボイコット事件
あんまり山口県の工女さんばかりひいきするから長野県出身の工女さんが怒って、ボイコットをしたのですね。それで横田英が長野県の工女さんたちをなだめたのですね。
※1 彼らは繰糸業、生糸検査、製糸の細太試験ほか蒸気器械製糸の諸技術などを学びながら、富岡製糸場経営の管理の一端も任された。また、工女さんの取り締まりなどもやったらしい。
富岡製糸場には日本各地から工女さんが働きに来ていました。横田英は信州の松代出身でした。横田を含め松代から来た工女さんは16人でした。松代から来た工女さんは士族の娘だけでなく平民の娘もおりました。山口県からやってきた工女さんたちは上品な雰囲気で着ている着物も高価だったそうです。しかも、横浜から富岡まで人力車できたというからリッチですよね。ですから、山口の工女さんたちは、ほかの工女さん達は羨望のまなざしを向けていました。ところが、
「今にも繰場に連れいかれるかと、そののみ待っておりましたが、十二時前まで何のさたもありません。それからはばかりに参る風にてガラスから繰場の中を見ますと、驚きますまいか、待ちに待ったるその人は入場直に糸をとることになりまして、皆々口付の教えを受けて居ります。私共は驚きが通り過ぎて気ぬけのしたようになりまして・・・(略)皆申し合わせたように私の部屋に大勢同行の人々が参りまして、皆泣いて居りました。こんな依怙贔屓えこひいき をされてはこの末とてもどのようなことをされるかわからぬと申すものやら、両親がすすまぬのを無理にきたから罰が当たったとか、いろいろに申しまして、畳に額をつけて泣いて居りまして・・・」『富岡日記』(P26〜27より)
山口の工女さんだけ、下積み作業の繭とりをしないで、いきなり糸取りをさせてもらったのです。これは不公平だと、ほかの県の工女さんたちは怒ったのですね。憧れの存在からねたまれる存在にあっという間に変わってしまいましたね。いや〜怖いですね。嫉妬のこわさは僕もよ〜くしっとるw
レストランに例えれば、新人でありながら、掃除などの下積みの仕事をしないで、いきなり料理の仕事に任せてもらえるようなものです。このようなことが起こったのは新政府の有力者に山口の人が多かったから。たとえば、伊藤博文とか山形有朋とか。
横田英も不公平だと「山口県の工女さんばかりずるい」と上司に文句を言ったそうです。すると、上司は「このことは西洋人の先生が間違えたのだから仕方がない」と言ってごまかしたそうです。
2 イベントでも優遇された山口工女
例の盆踊の御催促がしきりにありますから踊り始めますと、段々沢 山になりまして、他県の人まで加わります。一時実に盛んなことでありましたが、ここに競争者 があらわれました。山口県から参って居ります五十何人の方々でありました。信州の人が盆踊を 盛んにおどるから山口県の者も負けぬように踊るが宜しいと申されまして、毎日毎日休みの時間 に部屋部屋で下稽古をして居られましたが、その内に十分用意が調いましたと見えまして、夜分 庭に出ますと始めましたが、何を申すも人数が少う御座いますから、とても長野県の人に叶いま せん。しかし踊が信州の盆踊と違いまして、何か御座敷で踊るような踊と見えます。中々高尚で あります。『富岡日記』p44より
夏になると工女さんたちは夕涼みをしましたが、そのついでに盆踊りも行われました。上司のすすめで、長野県出身の工女さんたちが盆踊りを皆の前で披露したのです。するとほかの県の工女さん達も踊りだしたのです。それに負けじと立ち上がったのが山口県の工女さん達。
で、山口県の工女さんたちが踊りだすと、富岡製糸場の男子伝習生-(※1)らが高張提灯すべてを山口県の工女さん達のところへ持って行って、長野県出身の工女さんたちが踊っている場所が真っ暗になったなんて展開になりました。それには長野県出身の工女さん達もキレてしまいました。
3 盆踊りボイコット事件
初めはいやだと言うのに無理にすす めて置いて、今になって山口県の人々に助力する上に高張まであちらへ二本も持って行くとは実 に依怙贔屓だから、長野県の人は明晩から一人も庭に出ぬことにしようと、誰が申出しましたか、 それからそれと伝わりまして、翌晩は一人も出ません。蚊帳の中に休んで居ります。(略)(所長たちが出ろと言ったが)皆お腹が痛いの頭痛がするのと申しまして、皆出ません。引出され ましても直に戻って参ります。(略)『富岡日記』P44〜45まで
しかし私(横田英)は皆に申しました。「どう見ても山口県の踊は高尚でもあり、このようなことでつま らぬ争いをしたところで何の利益も無いことだから、私はこれから見物して、決して国の盆踊は 踊らぬ」と申しました。追々同意者がありまして、これから後、信州の踊は止めました。
あんまり山口県の工女さんばかりひいきするから長野県出身の工女さんが怒って、ボイコットをしたのですね。それで横田英が長野県の工女さんたちをなだめたのですね。
※1 彼らは繰糸業、生糸検査、製糸の細太試験ほか蒸気器械製糸の諸技術などを学びながら、富岡製糸場経営の管理の一端も任された。また、工女さんの取り締まりなどもやったらしい。