1 プロじゃない人が作った名曲
 四月は、入学、進学、就職、転勤と人生の門出の季節。新しい生活に期待と不安の思いが重なるころでしょう。また、新しい季節になり出合いもあれば、別れもあるでしょう。そんな季節にぴったりな歌。たくさんありますね。

「旅立ち」の歌と言うと僕は山口百恵さんの「いい日旅立ち」を連想します。あとは、レミオロメンの「3月9日」、尾崎豊さんの「卒業」、荒井(松任谷)由実さんの「卒業写真」、松田聖子さんの「制服」、柏原芳恵さんの「春なのに」も。

旅立ちの歌ということで、人気の高い曲といえば「旅立ちの日に」でしょうか。この歌は学校の卒業式でよく歌われています。僕が「旅立ちの日に」を知ったのはごく最近です。僕が卒業式で歌ったのは「巣立ちの歌」と「蛍の光」でしたから。親せきの子たちの卒業式にいってきて、卒業式でこの歌を歌い、「ああ、いい歌だな」と思いましたね。

卒業式の定番曲「旅立ちの日に」の作詞と作曲をしたのは、実はプロの人ではありません。

作詞も作曲も学校の先生が作られたのです。

この曲を作詞された先生が埼玉県のある中学校の校長先生だった人で、作曲をされた先生が同校の音楽の先生だったそうです。この歌が生まれた背景には色々あったそうです・・・

2 歌の力で 
校長先生が中学校に赴任ふにんしたのは昭和63年だそうです。しかし、当時のその中学はれていて、一部の生徒は非行に走り、ケンカはもちろん、生徒がバイクをぬすんだなんて話もあったそうです。昭和63年というと僕も中学生でしたから、その当時の中学生と僕はたぶん同世代でしょうね。僕の学校にも不良みたいな子いたなあ。

校長先生がこの中学校にきておどろいたのが、生徒達の歌声があまりに小さかったということでした。校長先生は、「音楽の力で生徒達の心を変えていこう」と思ったのです。「歌声のひびく学校」を教育目標にかかげ、合唱コンクールを開いたりと、生徒達が合唱する機会を増やしたそうです。坂本先生も合唱中、前を向いてくれない生徒たちのために、時にピアノの椅子の上に立って指導もされたといいます。

初めは歌うことをためらっていた生徒も次第に輪に入っていき、学校に歌声がひびくようになったそうです。特に男性生徒たちが歌うことのかっこよさを知ったとの事です。生徒達に笑顔がもどってきたのです。先生達の情熱に生徒達も心を動かされていったのでしょう。

3 旅立ちの日、誕生
 そして校長先生が赴任ふにんした昭和63年に入ってきた生徒さんたちの卒業式が近づいていきました。先生方は3年間頑張ってきた生徒さんたちに歌のプレゼントをしようと思いました。作詞を依頼された校長先生に脳裏の浮かんだのは、若山牧水の詩でした。



白鳥は かなしからずや
空の青 海のあをにも
染まずただよふ


白鳥が自由に空を飛んでいくイメージのこの詩に、校長先生の青春時代の思い出を重ねて、歌詞が出来上がりました。そうして生まれたのが「旅立ちの日に」

この歌は平成3年3月の卒業式に、校長先生を中心に先生達が合唱しました。もともとは先生達が生徒達に送る歌だったのが、今では卒業式の定番ソングとなったのですね。

平成3年3月は、生徒たちの卒業式もありましたが、校長先生にとっても最後の卒業式でした。平成3年3月をもって校長先生は41年に及ぶ教師生活を定年退職ていねんたいしょくしました。校長先生は昨年お亡くなりになりましたが、校長先生が作ったすばらしい歌の旋律せんりつは今も各地の学校の卒業式にひびき渡っています。


オマケ

最後に「旅立ちの日」の動画を。





(映らなかったらごめんなさい)




※ この記事はテレビのドキュメンタリー番組を参考にして書きました。