麦畑になれなかった屋根たち (絵本・こどものひろば)
著者:藤田 のぼる
販売元:童心社
(1995-07)
販売元:Amazon.co.jp




今日は一冊の絵本をご紹介します。『麦畑になれなかった屋根たち』

中島飛行機の武蔵製作所の空襲について描かれた童話です。この絵本の主人公は、中学を出たばかりの少年で、彼がお国のために中島飛行機で働くようになりました。

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(武蔵製作所の航空写真)

戦争も末期になると、この絵本に出てくる少年のように、今の高校生くらいの少年・少女が工場ではたらくようになったのです。周辺の女学校からも少女たちが駆り出され工場で働くようになったのです。






中島飛行機が敵の空しゅうから逃れるに、東京中のペンキ屋さんたちを集めて、たった一日で工場の屋根に青や緑のペンキをって、工場の周りの麦畑と見分けがつかなくなるようにしようとしました。

が、それは全くムダな努力で、米軍は正確に武蔵野製作所の位置を知っていたから、工場は空しゅうでムチャクチャにされたという内容を子供向けに書かれております。

東京中からペンキ職人を集めたり、たった一日で2万つぼの広さの工場の屋根の色をりかえたりと必死の努力をしたのに、それがムダに終ってしまったという物悲しさ。

なんとなく太平洋戦争時の日本の実相をみているようでむなしくなります。

ところで、中島飛行機武蔵製作所はどこにあったかというと、今の武蔵野市の緑町や八幡町(武蔵野中央公園や武蔵野市役所あたり)にありました。主に飛行機のエンジンを造っていました。


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(現代の地図。かつての武蔵製作所のあったところを線で囲っております。)



しかし、そうした軍事工場は敵機の格好のターゲットでした。そのため、武蔵製作所だけでなく、その周辺も大変な空しゅうにあったそうです。何でも昭和19年11月以来延べ9回にわたる空しゅうを受け、空しゅうの被害者は死者220名負傷者が266名ほどだそうです・・・