前回の記事で、イギリスがマクドナルド白書を宣言し、事実上パレスチナをイギリスが委任統治という名のもとに支配すると宣言したのです。それにシオニストたちが「話がちがうじゃないか」と反発して、「イルグン・ツバイ・レウミ」というテロ組織まで生まれたことを書きました。今日は、戦後になりイスラエルが誕生し、そして第一次中東戦争が起こるまでを描きます。


1 ユダヤ人たちの反発

 イスラエルが誕生したのは戦後です。イギリスが委任統治していたのになぜパレスチナにユダヤ人の国家ができたのでしょう。いろいろ理由はあるとは思いますが、僕はその理由をふたつあげます。

  1. ユダヤ人たちのテロ活動やロビー活動。


  2. ナチス大虐殺に対するユダヤ人への同情。

 
ユダヤ人たちのテロ組織「イルグン・ツバイ・レウミ」は戦前から活動をはじめ、第二次世界大戦後もテロ活動をやめませんでした。ちなみに、イスラエルののちの首相であるペギンはこの組織の出身です。さらに、この組織から分かれたテロ組織にシュテルン(イスラエル自由戦士団)というのがあるのですが、のちの首相となるイツハク・シャミルもこのテロ組織の出身です。また、シャロン首相もこのテロ組織の一派のメンバーだったそうです。

イルグンは、戦後たびたびテロ活動を起こしました。たとえば1946年7月に起こったキング・デイビット・ホテル爆発事件なんて典型です。どういう事件かというと、1946年3月、イギリスの官憲かんけんたちは2500人ものテロリストを逮捕し、7人を処刑しました。そして7月に事件が起きたのです。キング・デイヴィッド・ホテルというのがあったのですが、このホテルの地下で大爆発がおこり、建物は五階までふっとび、この事件により91名が死亡し46名が負傷したといいます。
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(キング・デイヴィッド・ホテル事件の写真。ウィキペディアより)

もちろんユダヤ人たちはテロばかりやったわけではありません。とくに在米ユダヤ人たちは1942年以降、パレスチナにユダヤ人国家を建設するために、募金ぼきん活動をしたり、アメリカ政府へも働きかけをしました。特に当時のアメリカ大統領トルーマンには猛烈なロビー活動をシオニスト組織がおこなったとか。

また、戦後間もなくしてナチスによるユダヤ人虐殺ぎゃくさつが明るみに出て、国際世論はユダヤ人に対して同情するようになり、逆にパレスチナをいつまでも支配しようとするイギリスに非難の声があがります。そういったこともユダヤ人たちにとって有利に働いたのです。

2 国連によりパレスチナが分割される
 これらのこともあってイギリスはパレスチナの放棄を考えるようになります。第二次世界大戦後に発足した国際連合に、イギリスはパレスチナ問題を丸投げします。無責任な話だと思いますが、これは事実です。

国連は1947年にパレスチナ分割を提案しましたが、しかし、この案はユダヤ人たちにはとても有利で、パレスチナ人にとってはとても不利でした。なぜならもともとパレスチナ人の土地だったパレスチナの半分以上をユダヤ人たちがもらえたのですから。人口をみても、当時のパレスチナに住むユダヤ人の人口が65万にたいし、パレスチナ人は100万人を超えています。人口の比率からするとパレスチナ人に多くの土地を与えるべきだと僕は思うのですが、実際はそうでもないのです。

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(ブルーのところがユダヤ人が支配する地域。それ以外がパレスチナ人の地域)


3 反発したアラブとイスラエル建国

 この不当な国連の決議にアラブ諸国は反発をしました。1948年3月、まずシリアがシオニスト排除はいじょのため軍隊を派遣はけんしました。これ以後の衝突でアラブ、イギリス、ユダヤを合わせて5000人もの人たちが命をおとしました。

テロ組織のイルグンは、パレスチナ人に対する嫌がらせとして、エルサレム郊外にあるディル・ヤシン村を襲撃しゅうげき、村人250人ちかくを虐殺ぎゃくさつしました。パレスチナ人たちに対して「おまえたち、ユダヤ人地区にいると同じような目に合わせるぞ!」とおどしをかけるのです。パレスチナ人たちはこわがって家のカギだけもって逃げ散ったといいます。


4 第一次中東戦争

 そして1948年5月14日、イギリスがパレスチナの統治権を放棄ほうきし、イスラエルが建国を宣言するのです。このイスラエル建国に面白くないのがアラブ諸国。それで第一次中東戦争がはじまります。

アラブ連盟諸国のシリア・レバノン・ヨルダン・イラク・エジプトがいっせいにイスラエルにおそいかかりますが、アメリカなどに支えられたイスラエル軍は強く、結局アラブ諸国は負けてしまいます。

戦争が終わったときには、イスラエルは、国連決議が割り当てた以上の土地を支配しました。実にパレスチナ全土の77パーセントがイスラエルのものなり、しかも残った土地もパレスチナ国家として独立したわけじゃなく、ヨルダン川西岸はヨルダン王国に、ガザ地区はエジプト王国に併合されただけに終わりました。

※ おまけ
今日は「マイムマイムの正しいおどりかた」という動画をご紹介します。マイムマイムはイスラエルの楽曲で、開拓地で水を掘り当てて人々が喜ぶさまを歌った歌です。ぼくも学校やキャンプで何度かマイムマイムを踊ったことがあります。





※参考文献