1 日本兵の名誉意識
 日本兵は天皇のために死ぬのが名誉で、靖国にまつられることが幸せだと信じていたと一般的には言われております。しかし日本兵ののみながみなそういう認識ではなかったといいます。

事実こんな話があったそうです。日本兵は5年間服役すれば日本に帰ってもよかったそうで、5年の服役を終えた日本兵は、戦争から抜けられたことを非常に喜んだといいます。なかには東条英機やスターリンをふくめた全世界の指導者たちに棍棒をもたせて大きなカゴに彼らを閉じ込め、指導者同士たちで戦わせ、それを世界中の兵士たちがそれを見物したほうが良いとまで語った日本兵までいたといいます。

特に都会人や教養のある人はそんな風に割とさめたものの見方をしていたようです。評論家の鶴見俊輔さんは鶴見祐輔という議員さんのご子息だったようですが、招集命令が来たときは冷めたどころか「しまった!」と思ったそうです。

鶴見さんだけでなく、都会人や教養のある人たちは日本に帰れることを切実に願っていたようです。それどころか敵国であるアメリカを憎むことさえできなかったといいます。都会の人たちはアメリカの映画を好んでいましたからね。都会出身の人じゃないけれど、若き頃の田中角栄元首相も徴兵で陸軍に入ったとき、ディアナ・タービンという女優のプロマイドを隠し持っていたため、上官に殴られたというエピソードもあったとか。つまり「鬼畜米英」とはいいながら本音では親米という人も結構いたのですね。


2 地方の人たちや教養のない人が戦争をマンセーするわけ

 一方で田舎の出身の人たちや失礼ながらあまり教養のない人たちは天皇のために喜んで死んで靖国にいくことを切実に願う傾向があったようです。現代でもよく2ちゃんねるでネトウヨといわれる人が変に先の大戦や自民党をマンセーするので、低学歴だとか揶揄されております。ひどい話です。彼らは無教養というより純粋なのだと思います。それ故に人の言うことを疑いなく信じてしまうところがある。ネトウヨじゃないけれど僕の父親もピュアな性格なために人に騙され損ばかりしておりましたっけ。さんざん人に騙され、借金をつくり家を手放す羽目になったっけ。

また、地方の場合は貧しかったことも大きいと思います。戦地で戦っている息子たちや父親の給料が頼りだったのです。そして名誉の戦死をすると恩給がでるため、「お前は必ず死んで帰れ。生きて帰ったら承知しない。おれはお前の死んだあと国から下がる金がほしいのだ」と息子に死ねと願った父親もいたほどでした。驚きです・・・なんと嫌な時代だったことか。


だけど都会出身、田舎出身関係なく降伏したり捕虜になったりしたら祖国に帰れないということはみな信じておりました。大和魂というよりも、この信念が日本兵を支えている面もあると思います。それと体罰への恐怖をも重要な要素だと思われます。つまり上官の体罰が怖いからしかたなく戦っているという日本兵も少なくなかったのです。それと捕虜になって無事に祖国に帰れたとしても、村の人たちに殺されたり、家族が村八分にあったり、そういこうことを恐れたともいいます。


3 不測の事態にもろい日本軍

 日本兵は、将校の命令通りに動いたり、事前に立てられた計画通りに動くのは上手だったといいます。事実、日本兵一人一人は射撃が下手な傾向があるが、射撃規律、すなわち上官の命令による一斉射撃は良好だったといいます。ようするに”集団戦法”が得意という、現代の日本にも通じるものを感じます。

また、時に自分で考えず「自分」でとなると何も考えられなくなるという指摘もあるようです。悪く言えば指示待ち族です。もっとも自分の頭で行動したらしたらで上官から殴られたと思いますが。

しかし、指揮官を失ったりすると狼狽し四散したといいます。そうなると米兵が手りゅう弾を投げたふりをしただけでバラバラになって逃げ去ってしまったといいます。

また日本軍は計画通りにいけばよいが、そうじゃないときはパニックになるとあります。計画というのは、仕事(戦争であれば戦い)をうまく進めるための手段でありますから、計画倒れになったからといって慌てることはないと思うのですね。戦争に限らず、仕事や日常でも不測の事態なんていくらでも起こる。そういうときは事前にたてた計画をあきらめ、臨機応変に対応すればよいと思うのですが・・・


おそらく一生懸命考えた完璧な計画に満足し、その優れた計画に酔ってしまい、その計画を何が何でも実行することが正しいみたいな空気が当時の日本軍にあったのかもしれない。

上官が怖いから指示待ち族が増えたのか、それとも日本軍に指示待ち族が多いからそれにイライラした上官がパワハラをするのか。よくわかりませんね。僕は上官が怖いからだと思いますがね

※1 
日中戦争の長期化で、軍紀が動揺し始めた昭和16年(1941)1月8日、東条英機陸相が「軍人勅諭」の実践を目的に公布した具体的な行動規範。特に「生きて虜囚の辱を受けず」の部分が明確に降伏を否定しているため、これによって多くの兵士が無駄死にしたとされます。

※ 参考文献
日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21)
山本 七平
角川グループパブリッシング
2004-03-10