新潟県に北陸新幹線が走っていて、「燕三条」という駅名があります。一方、北陸高速道が通っていますが、そこのインターチェンジに「三条燕IC」とあります。面白いですね。駅名もしくはICの名前が微妙に違います。また新潟を代表するご当地グルメに燕三条ラーメンがあります。そんなこともあって新潟県外の人は、「燕三条市」もしくは「三条燕市」という市があるのだなって思いがちです。が、そんな市はございません。三条市と燕市という二つの市から駅名もしくはICの名前を取ったのです。なぜ、ICと駅名の名前が違うのかはオトナの事情があるのですね。

実は両市の市町村合併の話もあったのですね。市の名前も二つの市の名前を使わず「県央市」と名づける案まで出たのですが、結局合併の話もたち消えとなりました。ちなみに東京にも田無市と保谷市という市があって両市は合併したのですが、市の名前は西東京市となりました。

燕市と三条市はお隣同士で、仲が悪いとネタにされることもあるそうですがw、この両市は金属産業が盛んで、世界的にも類を見ないほどの高い技術を持っているのですね。江戸時代に信濃川が氾濫する旅に、田んぼが流され、農民たちの生活も苦しくなったのです。そこで代官が和クギをつくらせ、収入源にしたのがその始まりだそうです。明治時代になり、洋クギが普及し、和クギの需要が減少しました。それで、今度は燕がキセル、矢立、銅器を手がけるようになったのです。大正時代になると、ヨーロッパで第一次世界大戦になって、洋食器の需要が高まり、洋食器も造るようになったのです。さらにハウスウェア、自動車に使うステンレス製のミラー、国産ロケット用の部品、さらにはApple社の薄型パソコンやiPadに使われているチタン板の加工なども行われております。

一方の三条は江戸時代から続く、鍬や鎌などの農具、カンナなどの大工用具など主に金物作りが主流になったのです。さらに三条市は1950年代から工業デザイナーと共にオリジナル製品を作り、フォックスの愛称で親しまれた「スナップリングプライヤー」などが誕生。

三条や燕で作られた製品は独創的で優れたデザインの商品に贈られる「グッドデザイン賞」を何度か受賞しているとのこと。また、両市が共同でプロジェクトを行っていると言います。すごいですね。