前回の記事で「オオカミ男」のお話を取り上げましたが、オオカミ男の話をしているうちに「アマラとカマラ」の話を思い出しました。アマラとカマラのことは僕が小学生の時に家庭科の授業で習いました。オオカミに育てられると人間はオオカミのようになる、つまり人間は育った環境がとても大事だという話です。でも、僕は子供ながらに疑問に思っていたのですよ。本当にオオカミが人間を育てるのかって。そして、2、3日前にようつべの検索欄ケンサクランに「アマラとカマラ」と検索ケンサクしたら、その関連した動画がいくつも出てきたのですが、「アマラとカマラ」の話はウソの可能性が高いという動画をみつけたのです。それから動画の話は本当かなって図書館でアマラとカマラの本を借りたら、やはりウソの可能性が高いと。


もちろん、アマラとカマラは実在はしたようですが、オオカミに育てられたわけではなさそうです。
もっと言えば、アマラとカマラがオオカミに育てられた子供で、幼少期の教育が大事なんだよなんて教科書で取り上げるのは日本くらいで、世界ではアマラとカマラはフェイクニュースの典型で真実を見極める目を養いなさいと教えられるのが常識だそうです。


オオカミの習性も昨日ネットで調べさせてもらいましたが、人間を育てることはまずありえないそうですね。また、人間の子が必要とする乳の成分とオオカミの乳の成分は違うものであり、オオカミの授乳は2カ月程度ですが、人間の赤ちゃんが2ヶ月程度の授乳では成長できないといいます。

アマラとカマラは1920年にインドで見つかったそうです。二人はキリスト教の牧師夫妻が経営する孤児院に引き取られたといいます。アマラとカマラはオオカミのように四本足で歩いたとか、遠吠えをしたとか暗闇クラヤミで目が赤く光ったとか、歯がオオカミにようにトガってっていたとか、実際にアマラとカマラがオオカミのような身体的特徴をしていたと主張するのは、牧師夫妻とその近親者だけだったそうです。専門家でアマラとカマラを見たというものは誰もいないのですね。新聞社とかにはアマラとカマラのことをもらしていたのに。おそらく牧師はアマラとカマラを専門家の目に触れさせることを非常に恐れたからだと思われます。専門家が二人を検証すれば、アマラとカマラがオオカミの子じゃないことがバレてしまうからでしょう。

まず、人間が狼のような身体的特徴になるとは思えません。そりゃ歯がすり減ることがあっても、オオカミのような生活をすることで歯が尖ることはあり得ないのですね。また夜行性の動物でさえ、光のないところでは目は光りません。暗闇で目が赤く光ったとはウソっぽいですね。

また、牧師は二人が肉を食べたし、カマラなんて木にのぼった、これこそ二人がオオカミに育てられた証拠だと主張。実際、カマラが木にのぼった写真もあるのです。実はオオカミって木に登らないのですね。ところが、インドではなぜかオオカミは木にのぼるという言い伝えがあるのですね。だからこそ、「牧師はカマラが木にのぼった、オオカミの子供」だって主張したのでしょうね。それにオオカミは雑食で、肉だけを食べるわけじゃないのです。肉を食べたからといってオオカミの子だと断定するのは無理があるのです。

いくつかの写真も残っておりますが、これは牧師が二人にオオカミのように振る舞えと命令した疑いがあるのですね。例えば、ご飯を食べる時もオオカミのように四つんいになって、がつがつ食べろいう具合に。

それから牧師がアマラとカマラのことを本に書いて、引きとった際の記述はなんと2ページにわたって書いているのですが、なぜか肝心の時刻が書かれていないのですね。アマラとカマラを引きとった前日までの記述には、早朝、夕暮れ、夕食後、午後何時と詳しく書いてあるのに、なぜか引き取った当日にはそれがない。なんらかの意図があって時刻の記述を外した疑いありと。

それにしても、なぜ牧師夫妻ボクシフサイがこんなことをしたのでしょうか。それは牧師夫妻本人に聞かなくてはわかりませんが、孤児院の寄付キフを得るためという説があります。「オオカミに育てられた可哀想な子供を牧師様が保護し、二人の教育をしている、なんて素晴らしい牧師様だ」」って人々は思ったと。そんな牧師夫妻の慈悲深ジヒブカい深さ(❓)に感激した人々はこぞって孤児院に寄付をしたと。もしも、それが本当の話ならば、まさに偽善者ギゼンシャ。と言いたいところですが、孤児院の経営は大変だったらしく、アマラとカマラの他にも孤児がいたわけで。牧師様たちもかわいそうな子供達をのたれ死にさせるわけにはいかないと思ったのかなって。

ただ、アマラもカマラも今でいう知的障害児で言葉が話せず、立ち振る舞いもどこか普通の子と違っていた点もどうやら本当のようでした。おそらく、お世話が大変ということで、両親は二人を捨てた可能性があります。捨てられたところを牧師様に拾われたのかと。

1921年になるとアマラとカマラは病気になり、その年の9月21日にアマラが亡くなったのですね。カマラは涙を流したといいます。アマラが死去した9月21日から9月27日までカマラはひとりでずっと部屋の隅でうずくまり、10月になってもカマラは意気消沈イキショウチンしたままだったそうです。

その後、カマラは元気を取り戻しましたが、1928年ごろに体調を崩し、1929年にカマラは亡くなったのですね・・・

それにしても、なぜアマラとカマラの話が実話のように受け入れられたのでしょう。それは、この話を信じるだけの素地が十分に整っていたからです。人間がオオカミに育てられたという伝説や伝承は古くからありました。日本の伝承にはそうした話は聞いたことがないが、インドやヨーロッパではそうした話が頻繁に出てくるのですね。オオカミに育てられた伝説で最も有名なのが、古代ローマの伝承。古代ローマ建国の英雄とされる双子のロムルスとレムス。育てられたのが二人というのもアマラとカマラと符合しますね。




※ 参考文献と参考サイト


(参考にした動画)