ラジオ中国語講座のテキストはいろいろな中国がらみのコラムがっています。去年のテキストには「中国人物論」というコラムが載っていました。書いているのは小説家の酒見賢一さん。

去年のテキストの「中国人物論」では『三国志』でおなじみの劉備(りゅうび)が取り上げられていました。

劉備といえば『三国志演義』をみても、ゲームの『三国志』でも劉備=人徳あふれる名君というイメージが前提になっています。

一方ライバルの曹操(そうそう)は冷酷れいこくな悪役というイメージでえがかれています。

だが、酒見さんは思うに劉備が一番悪いと述べられています。

「この人さえいなかったら後漢末動乱期はもっと平和に推移すいいしていたにちがいないと、ふと考えるときがある」とまでおっしゃっています。

なぜならば、「劉備は極楽ごくらくトンボというか、ビジョンがなく、その場しのぎが多い。自分の野望を華々はなばなしく演じた曹操、辛抱しんぼう強く着々と組織固めをした孫権(そんけん)とちがって、あまりに無計画すぎる」からだと。

ちなみに、ここに出てくる極楽トンボとはお笑いコンビの名前じゃないので、あしからずw

また、裏切り者で知られている呂布(りょふ)が捕虜ほりょになったとき、曹操は助けようとしたのに対し、劉備は殺せといいました。

そのとき呂布は「この大耳児だいじじめが、お前が一番信用ならん男だ」怒鳴どなったそうです。大耳児というあだ名は劉備の耳が異常に大きかった事に由来するそうです。

他にもいろいろと劉備の無能さをつらつらとこのコラムに書かれておりました。

劉備は僕の好きな武将の一人だっただけに酒見さんの話は意外に思えたし、「へえ、そういう見方もあるんだ」って僕も感心しました。



※ 参考文献
NHK中国語講座のテキスト